高周波焼入れ

高周波焼入れとは、金属に高周波の電磁波による電磁誘導を起こし、表面を過熱させ焼入れを行う手法です。金属表面のみ硬化させるため、内部のじん性を保つことができ、一般の焼入れに比べロックウェル硬さ(HRC)を上昇できます。

特徴

1.全面は勿論、局部の焼入れが可能です。
2.直接加熱・冷却による焼入れのため、熱効率に優れています。
3.表面の焼入れのため、内部のじん性を保つことができます。
4.表面または局部焼入れにより変形が抑えられます。
5.短時間による焼入れが可能ですので、短納期で対応できます。
6.大型、中型、小型の装置により、各種寸法に対応できます。
7.少数ロット(1個)から大ロット(1000個以上)の対応が可能です。
8.単品の品質は勿論、作業の標準化・自動化により複数ロットの品質が保証できます。

作業工程

標準的な作業工程となりますが、お客様の品質条件に合わせた工程も相談の上行っております。

        
焼入れによる硬化の仕組み
焼戻し

急冷して出来たマルテンサイトは、硬くて脆いので、焼戻しすることにより靱性を保たせることができます。
(マルテンサイト変態した時に内部応力が発生し、応力が鋭角の所に集中しそのままの状態で放置しておくと 鋭角部から割れが発生することがあります)。

マルテンサイトを焼戻し(一般には160℃〜250℃程度)すると、マルテンサイトが焼戻しマルテンサイトになることでねばさが増し、硬さが若干低下し、ねばさ(強靭性)が増加します。

材料によっては250℃以上で焼戻しことがあり焼き戻し後の硬さが低下しますが、組織的には、炭化物が  析出する「共析反応」が進んでまいります。

設備

    高周波焼き入れ小          高周波焼き入れ中           高周波焼き入れ大           硬度測定器        

高周波焼入れの他、下記の焼入れも賜ります。

・炎焼入れ
   高温の炎を吹き付けて材料の表面を焼入れし、表面層を硬化させる方式です。硬化の原理は焼入れと同じで、オーステナイト組織まで加熱後、急冷させてマルテンサイト組織を得ることによる。そのため、材料の種類は鋼および鋳鉄製の部品が主な対象とされます。

・焼なまし(焼鈍)
   ある適当な温度に加熱した後ゆっくりと冷却する方式です。材料の軟化、結晶組織の調整、内部ひずみを除去できます。

・雰囲気焼入れ
   炉内の雰囲気ガスを目的によって調節をして行う焼入れを行う方式です。一般には脱炭・浸炭・酸化防止のコントロールを行なう。加熱後大気中に取り出して焼入れ冷却する方式はわずかな酸化・脱炭は避けられませんが、ワークの仕上加工代内であれば問題とならない。オールケース式(雰囲気中で冷却)の場合は酸化・脱炭とは極めて少なくなります。

・焼ならし(焼準)
   鋼をオーステナイト組織としてから空気中に放冷する方式です。前工程の鋼への影響をとり去り、鋼の組織を細かく均質化して、機械的性質を改善する目的で行なわれ、これによって鋼の強さと靭性が向上されます。